学生日記

大学生です。無能って感じのデクです。

日記のようなもの6

数学のテストに五臓六腑をブチ抜かれ、命からがらバスに乗り、ただいま帰宅しました。コンビニでご飯を買うのを忘れたので、昨日の晩御飯の残りの麻婆豆腐を温めて食べようとしているところです。

帰り道犬の鳴き声が二つ聞こえたので、さては喧嘩だなと考え、よし審判に入ってやろうと思って近づくと、そこにいたのは一匹の犬と一匹のおじさんでした。目の前で繰り広げられている犬とおじさんの攻防。それが僕には喧嘩なのか、対話なのか、交渉なのか、商談なのか、そもそも会話は成立しているのかが一切わかりませんでした。「ワン」と吠える犬に対して「ヲウ」と吠えるおじさん。

恐らく犬と対話するおじさんは世界的に見ても珍しく、絶滅危惧種どころかそもそも存在したのかどうかすらわからないんですけど、まぁ、多分、数年に一度出会うか出会わないかでしょう。「帰り道おじさんと犬が会話していた」というこの文は非常に不可解です。タバコも唇も口につけたことがない僕は、宇多田ヒカルの「最後のキスはタバコのflavorがした」が日本で最も不可解な文章だと思っていましたが、それすら上回る不可解さです。おじさん>宇多田ヒカルです。こんな状況はめったにありません。

「よく吠えますね。」

気づけば僕は物珍しさに声を掛けていました。僕は犬に対して「よく吠える」と言ったつもりなんですけど、よく考えたらおじさんに向けた言葉にも受け取れますねコレ。もしそう受け取ったとしたら僕は物腰の低いリヴァイ兵長みたいなセリフを言ったことになります。つまるところ「非常に失礼」。

しかしおじさんはニコニコ笑いながら「あの犬かわいいね。」と言いました。僕の中に恐怖が走りました。このおじさんは犬がかわいいから会話を試みた、ということです。つまり今会話している僕は、おじさんから「かわいい」と思われているということです。このすね毛の濃い眼鏡をかけたマリモ頭の屈強な男を「かわいい」と受け取るおじさん。

僕は走りました。太陽が沈む何百倍の速さで走りました。その結果コンビニでご飯を買うのを忘れた、というのが今日の日記です。明日はテスト最終日です。もう臓器は残っていないので死に物狂いで勉強しようと思います。