学生日記

大学生です。嫌な人が増えたので筋トレ始めました。

キャラメル☆フラペチーノ

逆張り精神のURとして地元で恐れられていた僕は、キャラメルフラペチーノを飲んだことがありませんでした。そもそもスターバックスコーヒー、通称スタバに行く機会すらありませんでした。時々行ったとしても、やっぱり抹茶だよね!と抹茶フラペチーノばかり頼んでいました。抹茶は大人の嗜みと思っていました。竜を夢見て滝を上る鯉の如く、高速道路を走るおじいちゃんの如く、流行に逆走していました。

しかし、いつまでも行く流れには逆らえません。ふとした日常会話は、キャラメルフラペチーノを飲んだことのある前提で進んでいきます。内輪ネタも、おいしいお店の話も、テニスの話も、政治の話も、キャラメルフラペチーノを飲んだことのある前提で話は進んでいきます。キャラメルフラペチーノを飲んだことがない人に、政治を語る資格はないのです。

僕もみんなと今後の日本について真剣に話したい。政治的且つグローバル且つグロテスクな話をしたい。そう思った僕は、満を持して、キャラメルフラペチーノに手を出すことを決めました。

そして今日、厄介な知り合いと過去の僕が遊びに行く約束をしやがっていたらしく、LINEが来やがりました。既読無視で切り抜けようとしましたが、それはもう10回ほど使っていたため、やむを得ず出かけることにしました。しかし折角出かけたからには何か成果を挙げたいところです。

「それなー」「まじわかるー」「うんうん」僕の持つ語彙力をフル活用して話を合わせ、あの手この手で知り合いをスタバへと連れていきます。「ちょっと暑くなーい?」「喫茶店とか行きたいよねー」「そういえばスタバで期間限定のやつあったよねー」

ギャルトークのおかげで、何とかスタバに着いた僕は、嬉々としてキャラメルフラペチーノを頼もうとしました。

えーと、トール以外の選択肢、ある?ショートとかないの?どこに書いてある?刻一刻と迫る時間。店員さんの消える笑顔。僕は仕方なくトールを頼みました。大中小とかじゃダメなんですかね。なんでわざわざわかりにくい英語表記するんですか。

入れられる茶色い物体。のせられるホイップ。ペンのようなもので描かれる茶色い幾何学模様。そうして、かの有名な、キャラメルフラペチーノが僕の手元に届きました。これで友達との話にようやく参加できる。11年間の教室すみっコぐらしから解放される。そう思い、口に、キャラメルを、注ぎました。

 

 

あっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっま

 

 

もう、想像を絶する甘さに、苦痛すら感じました。ギブギブ。レフェリー、聞いてる?誰だよ、トールとか頼んだやつ。

初恋はハニーレモンの味とか聞きます。初恋もハニーレモンも食べたことないんですけど、キャラメルフラペチーノの味なら言えます。スカートの短い学校の学生カップル。甘ったるいことこの上ありません。ムカムカしてきます。二つの意味で。

帰り道、吐きそうになった電車内で、少し誇らしさを感じました。これでやっと、キャラメルフラペチーノ童貞を卒業したのです。これで、友達との会話に入る資格をゲットしたのです。しかしよく考えたら友達がいませんでした。

もう二度と、頼むものか。