今週のお題「二軍のTシャツ」
生まれながらにして二軍にいる僕は、二軍という言葉が大好きです。何事も二軍。もう二軍と書いて故郷と読む的な。二軍とは腐れ縁っていうか、病室が隣だった幼馴染というか。常に二軍と隣り合わせです。
そんな二軍の僕が着るTシャツは、ほぼほぼ母が買ってきてくれたものです。服が少ないのでほとんどの服は一軍です。二軍の服は相当趣味の悪いものしかありません。そんな二軍の中でもトップクラスに輝いているベストオブ二軍服が、アイスクリーム服です。
母が買ってきてくれたんですが、最初目を疑いました。母は何か僕にうらみでもあるのかと思いました。それくらい、アイスクリームの主張がすごいんです。アイスクリームの服を買ってきたと聞いた時、パセリくらいかなーって思っていたんですが、もう、すごい、ハンバーグ。ハンバーグ師匠もあんぐり。地元じゃ温厚で知れ渡っているレベルの僕も、これにはアングリー。何を言っているのでしょうか。
もちろん僕は男です。最近自分が毛深いことに気づき始めた、男です。僕がアイスクリームの服を着て外に出た暁には、そういう人かなと思われます。同級生とエンカウントしたら、もう筆舌に尽くしがたいことになります。あれ、URじゃね？何あの服。あ、あー、そういう感じ…。もう二度と学校生活で日の目を見ることはないでしょう。じめじめとした苔のような学校生活を送らなければなりません。いや、今と変わらないんですけど。ははは。
それくらいアイスクリームの服が嫌でした。しかし買ってきてしまったものは仕方がありません。自分はしぶしぶ、半ば母の脅迫もあって、そのアイスクリーム服を家の中限定で着ることにしました。
青色なんで汗染みがすごいです。僕は汗かきなので、夏は線状降水帯並みの汗の量なんですけど、青い服を着るとそれが顕著に現れます。アイスクリームに変な色のシロップがかかってしまいます。脇なんて、もう、観測史上最大の局地的豪雨がすごくて、マウシンラム？ってくらい汗をかきます。汚らしい話になってすみません。
しかし僕は破れた靴下すら捨てれないくらいの愛着湧きです。だんだんとアイスクリーム服にも愛着がわいてきて、すっかり僕の二軍服です。服がなくなった時に見る、部屋の隅で「待ってたぞ」と言わんばかりのあいつの姿は、SUBARU並みの安心感です。
今年の夏に入って、服が全部小っちゃくなって、部屋着がなくなりました。なのでアイスクリーム服をもはや一軍より使っています。アイスクリーム服の重役出勤。もうかれこれ五連勤くらいしています。ちゃんと洗ってます。
二軍の僕と、二軍の服。しかし二軍だって、一軍に負けないくらいに活躍しています。僕は球拾い、部室の掃除、修学旅行の厄介ごとの処理、先生への謝罪。アイスクリーム服は宅急便の受け取り、部屋着。縁の下の力持ちっていうか、もはやアンドレアス・ムンツァーです。縁の下界のアンドレアス・ムンツァー。それが僕と、アイスクリーム服です。僕は、アンドレアス・ムンツァーなんです。
↓アンドレアス・ムンツァー。
これからも開き直って、胸を張って、堂々と二軍を闊歩していく所存です。
でもやっぱり恥ずかしくて、あれを着て外には出られないんですけど。
