学生日記

学生の、日記です。

話を聞けない

指示とかをよく聞き逃します。いや、聞き流します。

「サーブリターンからクロスラリーして21入ってポイントして」

オッケーオッケー。完全に理解しました。ラケットを持ってコートに入ります。えー、最初はアレですね。完全にアレ。アレ以外あり得ません。あれ?あ、そうそう。水筒忘れてた。取りに行きます。

戻ってくると、みんなはサーブリターンに入っていました。あーはいはい。サーブリターン。それです。

サーブリターンが終わり、次はアレです。アレ。

アレ。

あれ?

 

こんなことは日常茶飯事です。こっちいけと言われたらあっちに行くし、あっちいけと言われたらそっちに行きます。ならここにいろと言われると、不思議なことにこっちに行くんです。

もうここまでくると、僕は聞き取れないのではなく、聞く気がないと思うんです。覚える気がないというか。いや、自分は覚える気しかないんですけど、真剣な顔で話を聞いているんですけど、脳が全く覚えてくれません。

なら僕は何に脳のキャパを使っているんでしょう。そんなことを考えていたら、また指示が聞き取れませんでした。

これです。

僕は「なぜ僕は指示を覚えられないのか」を、指示を受けている時に考えているから、指示を覚えられないのです。ここに、とんでもないバカがいます。

今思えば、僕は何かを聞いている時他のことを考えています。替え歌を作ったり、僕がお金持ちになった時に受けるインタビューの内容を考えていたり、「吾輩は猫である」に対抗する「吾輩も猫である」というタイトルの物語を考えていたり。大真面目に聞いているふりをして、僕の頭の中では猫が街中を散歩しています。これでは聞き取れないのも当然です。

ならどうすればいいのかというと、とにかく指示を聞くことです。

指示を聞けば、指示は聞けるのです。

恐らくこの世で最も謎に満ちた文章が出来上がりました。もはや哲学です。この文章が世界中の哲学者たちを苦しめ、数百年経ってものすごい賢い人が言ったとんでもなく賢い解釈を、その頃もう死んでいる僕は天国で笑いながら見るでしょう。コイツ何言ってんだ、と。

ごめんお母さん。さっき言ったこと、全部相槌したけど、これっぽっちも聞いてない。僕の文章が哲学者に解釈される話考えてた。ごめん。